日程 第33回
2011年9月10日(金)
午後1時〜5時30分
場所
財団法人柿衞文庫 〒664-0895 伊丹市宮ノ前2-5-20
講演会 「西鶴の矢数俳諧とメディア(仮)」 早稲田大学 中嶋 隆
シンポジウム テーマ「ことばの魔術師―西鶴の俳諧と浮世草子」
コーディネーター・司会 青山学院大学 篠原 進
パネラー 和光大学 深沢眞二
連句人・俳人 浅沼璞
愛知淑徳大(非) 早川由美
関西学院大学 森田雅也
早稲田大学 中嶋隆
パネラーの発表(各15分) 3時30分〜4時45分
質疑応答(30分) 5時〜5時30分
上記の講演会・シンポジウムに合わせて、以下の展覧会・講演会が行われます。
展覧会開催要項
◆展覧会の名称
秋季特別展「西鶴-上方が生んだことばの魔術師」
◆展覧会の趣旨
「天下矢数二度の大願四千句也」。この句を発句として、西鶴は一人で一昼夜に四千句を詠みあげるという大記録を成し遂げます。数千人の聴衆を集めたというこの一大イベントは、『西鶴大矢数』として延宝九年(1681)に刊行され、息次ぐ間もなく放たれる弓矢のように言葉を自由自在にあやつった西鶴の存在を日本中に知らしめます。全国各地で現れる矢数俳諧の記録への挑戦者からの挑戦を受け、ついに西鶴は貞享元年(1684)、一日に二万三千五百句を独吟するという、他の追随を許さぬ、空前絶後の試みをやってのけたのです。「神力誠を以て息の根とむる大矢数」とみずから詠んだように、まさに、神がかりな力によって、矢数俳諧の息の根をとめ、西鶴はその記録にとどめを刺したのです。人間わざとは思えぬ偉業をなしとげた西鶴は、実は、伊丹ともゆかりが深い人物です。京の俳人宗(そう)旦(たん)が伊丹に開いた俳諧塾也(や)雲(うん)軒(けん)をしばしば訪れたという記録が西鶴の追善集『こころ葉』にあります。ここでの若き鬼貫(おにつら)や鴻池の西(さい)六(ろく)をはじめとする伊丹の酒造家の旦那衆たちとの交流がのちに、西鶴の浮世草子『西鶴織留(おりどめ)』につながります。『西鶴織留』で西鶴は、「津の国のかくれ里」として伊丹を紹介し、諸芸に通じた伊丹の酒造家の男を描き出しているのです。
そして、伊丹に近い豊中では、昨年、原田神社に奉納された俳諧額が文化財に指定されました。幅約3メートル60センチもあるこの大きな額は、西鶴の浮世草子の代表作『好色一代男』の版下を書いた西吟(さいぎん)が元禄16年(1703)に、近郊の農村地域の人々から寄せられた句のなかから撰んだ百句を書いたもので、今もその筆蹟を墨色確かに見ることができる貴重なものです。
今年は西鶴の矢数俳諧の記念碑ともいうべき『西鶴大矢数』が刊行されて330年になります。『西鶴大矢数』はもちろん、二万句達成を示す新出の西鶴真蹟短冊や、西吟の記した奉納額、またエネルギッシュな矢数俳諧とはうって代わって典雅な西鶴の絵画と句が織りなす「西鶴自画賛十二ヶ月帖」など貴重な資料をご紹介しながら、「浪花の浮世草子作家」として有名な西鶴の、「俳諧師」としてのことばへの挑戦をご紹介します。伊丹の酒造家をはじめ農民庶民にいたるまで俳諧を楽しんだ時代のエネルギーを感じ取っていただければ幸いです。
◆会期
平成23年9月10日(土)〜10月23日(日)
月曜休館 ただし9月19日(月)・10月10日(月)開館、9月20 日(火)・10月11日(火)休館
◆開館時間
午前10時〜午後6時(ただし入館は5時30分まで)
◆会場
柿衞文庫 1階・2階展示室(計2室)
◆入館料
一般 700 (600)円 大高生 450 (350)円 中小生 350 (250)円
( )は20人以上の団体料金
◆主な出品作品
・『西鶴大矢数』(天理大学附属天理図書館蔵) ・西鶴筆「神力誠を以」句短冊《新出》(個人蔵)
・下里勘州(知足)あて西鶴書簡(天理大学附属天理図書館蔵) ・『西鶴織留』(柿衞文庫蔵)
・『西鶴五百韻』(国立国会図書館蔵)
・『西鶴十三年忌歌仙 こころ葉』(東京大学総合図書館蔵)
・西吟奉納額《豊中市指定文化財》(豊中市教育委員会寄託)
・西鶴自画賛十二ヶ月帖《伊丹市指定文化財》(柿衞文庫蔵) など約80点
◆関連講座
〔一般 1,500円/回 大高生 1,000円 友の会会員 500円/回 入館料込 要申込〕
①平成23年9月24日(土) 午後1時30分〜3時
「西鶴の連句と連想(仮)」 連句人(レンキスト)・俳人 浅沼 璞 氏
②平成23年10月15日(土) 午後1時30分〜3時
「西鶴と伊丹・北摂地域の俳諧」関西学院大学教授 森田雅也 氏