日本近代文学館・冬季企画展「小説は書き直される―創作のバックヤード」(2017年12月2日(土)―2018年2月10日(土))

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展覧会情報です。

●公式サイトはこちら
http://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/cat-exh_current/9663/

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2017年12月2日(土)―2018年2月10日(土) 


※本展は複製資料・パネル展示を中心に構成されています。他館所蔵資料は画像提供によるパネル展示です。

開館時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
観 覧 料 一般100円
休 館 日
日曜日・月曜日・第4木曜日(1/25)・年末年始(12/27-1/4)

編集委員 安藤宏

【今回の展示は、われわれが日頃、当たり前のように慣れ親しんでいる名作が、どのように書かれ、活字化されるのか、さらにそのあともいかに読み継がれ、書き直されていくのかという、時間の歩みを追いかけていくことにねらいがあります。

 作者はまず小説の着想をメモや草稿の形にし、何度も書き換えながら浄書していきます。その際、さまざまな資料が参照されることになりますし、著名な古典が翻案されることもあるでしょう。一個の小説は、先行するテクストとの無数の見えざる「対話」から成り立っているわけです。原稿用紙はまさに生みの苦しみの現場で、書き直しや削除の跡から、一個の虚構世界が構築されていくプロセスをたどることができます。活字化は小説が密室から社会に羽ばたく決定的な〝事件〟ですが、小説の一生はここで終わるわけではありません。さまざまな評価にさらされる中で、作者は改訂の機会あるごとにこれを書き換えていきます。小説は作者と読者の「対話」を通して成長を続けていく生命体であり、作者がこの世を去った後も、さらに後世の人々によって育まれていく文化資産なのです。

 われわれが何気なく手にしている一冊の文庫本が、実は長い時間の連なりの中にある一つの「顔」にすぎないこと、その背後には創造にまつわる様々な苦しみや喜びがあり、読者との「対話」の産物であることに新鮮な驚きを感じて頂ければ、これに過ぎる幸いはありません。

(編集委員 安藤宏】